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2018.7月 東日本大震災・福島県相馬市を訪ねて

東日本大震災を「忘れないで」という意味で、中小企業家同友会全国協議会主催にて、福島・宮城・岩手の3コースが企画されました。今年で震災が起きて7年、震災後3年目に一度訪れていましたので、その後4年経ってどれ位復興したのかを、この目で確認をしたく福島コースを選び、訪れました。

一つ目:前回訪れた時は、汚染された土を保管する大きな黒い袋があちらこちらに高く積み上げられていましたが、バスでどこを走行していてもそれらはすっかりとなくなっていました。どこに移されて行ったのかは確認出来ませんでしたが、放射能に汚染された土が入っているわけですから、保管状態が悪くもしその袋が破れてしまっているとすると、その保管されている場所が新たに汚染されていないか心配です。

現地の説明では、仮に人体にかなり放射能を浴びたとしても時間が経ってから計測をしても放射能は薄まっていくためよく分からず、また被爆した人体への影響は20年から30年後に身体の変調が出てくるものなので、若い人にとっては永年心配をしながら生活をしなければいけないとの不安があるそうです。永年経ってから影響が出るということは、その時には関係者はいなくなっているので、責任の所在が曖昧になることが原発の恐ろしいところだそうです。

二つ目:7年経ってもまだ汚染区域があり、震災で壊れた建物はそのまま放置されている。原発事故の影響がなく地震や津波の影響を受けただけの地域は、復興が進んでいました。当時爆発場所から30㎞以上離れた地域でも、放射能の影響が出るかもしれないので自治体毎に避難の判断をするようにと、国から指示があったそうです。そこで各自治体の市長さんは決断を迫られたわけですが、今になると住民がその土地から離れなかった地域は、震災と津波の影響による被害はあったものの復興は進んでいますが、一度避難をした地域は住民がばらばらになってしまい、地域で復興をしようとしても住民が少なく、復興が相当遅れている地域があり、となり同士の市町村でも大きく復興の進み方の差が出てしまっている現状がありました。

三つ目:地域の住民と中小企業とは相互の関係が強く、復興に相乗効果があることが改めて分かりました。地域の住民が居てこそ、商売が成り立っている。買う人がいなければ、会社を存続させることはできない。

今回案内をして下さったクリーニング屋の社長さんは、震災のあった時は呆然としてしまい商売を再開することはむつかしいと考えていたそうですが、今までお付き合いのあったお客様から「いつ再開されますか」と問い合わせが次から次へと来たそうです。「自宅では思うように洗濯が出来ないので、きれいにクリーニングをして欲しい」との要望でした。そのことは住民にとっては、会社やお店があるから日常生活が出来るのであって、それらがなかったら生活(衣食住)が出来ない、という相互関係で地域が活性化をして潤っているのです。 原発事故の影響で大手企業は地元からすべて引き揚げてしまいましたが、中小スーパーの店舗はその店長が自己判断をして、保管していた商品をすべて避難所に持ち込み無料で配布をしたそうです。大変助かったということで、今ではこのスーパーの常連さんとして買いに来て下さっているそうです。中小スーパーの社長さんは、「日頃からお客様の喜ぶ顔を見ようと言っていることを店長は実行してくれた。誇れる社員がいてくれた」と喜んで見えたそうです。地元のスーパーではあらゆる手を尽くして、すぐ再開するようにしたため住民もその土地にいることができた。7年経ってやっと最近大手スーパーや電気店が戻ってきて再開するようになってきたということです。どうなることやら!

四つ目:地元のバス会社が、原発の避難区域の病院を回って、避難のお手伝いをしていたということです。この時は、放射能を浴びる危険があるということで、取材に来ていたマスコミを始めみんな我先に逃げたということ。しかし元々地域の足としてなくてはならないバス会社だったらしいが、自分たちが逃げてしまったら、病人の多くの人が犠牲になってしまうということで、社長さんを始め社員の皆さんも、献身的に避難のお手伝いをした。ところが、病人を助け出し県外の病院まで運ぼうとしたら、危険区域を一歩でたところで、「これ以上バスを移動させてはいけない」とストップさせられた。それは、被爆測定もしないのにそのバス自体が汚染されているからと、病人にバスの乗り換えを指示された。弱っていた人の中には、この負担に身体が耐えきれずにその後亡くなってしまった人が出たと言うことです。何のための避難だったのか。この話を聞いた時は悔しい思いをしました。

ずいぶん時間が経ってからバスを洗浄したそうですが、この会社は行政の対応を待っていたらいつになるか分からないということで、震災で亡くなってしまった人々のために自社費用で供養塔まで建てたということで、今回はこの慰霊塔でお参りをさせて頂きました。

最後に:地震・津波・放射能という三重苦が発生してしまい、特に放射能という核兵器による戦争が勃発したわけでもないのに、福島沿岸部の住民の皆様にはこの影響で復興を妨げられている。しかも、自分たちが使うために電気を起こしているのではなく、何と関東地区、特に東京のために福島で電気を作り出しているのである。東京で作っては今回のような問題が発生したら日本全体に大きな損失をもたらし日本経済に影響するから、遠くから運んでいるのです。

そのことに感謝をしてもしきれないほどの状態であるにも拘らず、恩恵を受けている人々は、そのことを感じて大切に電気を使用しているのだろうか。

そういった意味でも、「エネルギー・シフト」まず「省エネ」で無駄な電気を使わない。省エネに関する改善を進めるなどをして、少しでも電気の使用量を減らす。次に自然エネルギーを活用して、電気を作り出す。水力・風力・太陽光・木材、植物や動物によるバイオ等の活用。

基本的には、地域で使う分は地域で作る。地産地消ではなく、「地消地産」の考え方をすれば、各地域での地方創生にもなります。このような視点を持つことにより、新しい仕事も生まれてきます。そういったことからも、その仕事を作り出すためにも、技能・生産技術力を高めていきたいものです。

福島の皆さんは、三重苦が起きる前よりも、どんどん成長をして行き明るい未来をつくることに全力投球していました。いつどこで災害が起きるかわかりません。我々も未来に向かって、前進して行きましょう!

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