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2018.2月 会社発展の歴史〔基盤の形成〕No2

会社は、1949年6月に創業してから2019年5月で70年になります。私も本年一月を迎え71歳になり、人生を過ごす時間も限られて来ました。そこで昨年10月に引き続き、記憶をたどりながら第二回目を書きます。

私が二代目として入社したのが、創業して20年目の1969年4月です。その時の社名は、加藤精機有限会社でした。(現在この社名は存在していませんが、加藤精機株式会社の看板が本社の入口に記念として掲げています)

会社発展の一つの大きな転換期として、1992年(平成4年)現在のエイベックス株式会社に社名を変更しました。この目的は、加藤という社長が引っ張っていく機関車型の会社ではなく、各車両にモーターが付いている電車型の会社にして、社長は基より社員一人ひとりが皆で会社を発展させて行こうとの思いでした。いわゆる、みんなで成長させていく会社づくりです。

私も心機一転、創業者の気持ちで0からのスタートの気持ちで覚悟を決めました。しかし、すでに2代目として仕事をしていたため1.5代目を標榜し、永年住んでいた創業時の住宅を壊して、現在の一部4階建ての第一工場が出来ました。この工場のコンセプトは、全体的にR基調のやわらかい外観イメージの設計をNAG設計同人様にお願いしました。なぜなら、当時扱っていた製品の素材が鉄の製品が多く、堅いイメージがあったため、外観だけでもやわらかくしたいという想いがありました。元々外観は、のこぎり屋根の工場でブロック塀は油が染みついており、学校の先生が生徒を推薦して頂いても、日曜日に親が下見に来て、「こんな古ぼけた汚い会社をどうして推薦したのだと親が怒ってきたので、推薦を取り下げます」と、何度も悔しい思いをしました。だからこそ、生徒や親が来たくなるような外観にしたかったのです。また今では考えられませんが、工場内は油が飛び散っていて長靴を履いて仕事をしていた状態でした。そのためお客様から発注を躊躇されるありさまでした。

そこで工場の入り口にげた箱を用意して、スリッパに履き替えてお客様を工場に案内するようにしました。当時そのような発想をする会社はなく、一躍「スリッパで案内する会社がある」と評判になりました。そのおかげで仕事も順調に入ってくるようになりました。

ところが実はお金があってこの工場を建てたのではなく、銀行から全額借り入れなくては支払うことができない状態でした。なんとすでに借金をしている額と、この建物を建てるための借金を足すと、年間の売上に匹敵するぐらいの金額になってしまいました。そんな状態なので、そう簡単に銀行は貸してくれませんでしたが、当時、取引を開始して間もない愛知銀行堀田支店の長谷川支店長が「思い切ってやれ!金は貸す。今が飛躍のチャンスだ、その考え方は正しい」と、貸して頂くことが出来ました。今になればなつかしい思い出ですが、このように銀行側の立場ではなく、中小企業に寄り添ってすばらしい決断をする支店長は、私が知っている限りその後現れておりません。ちなみにこの長谷川支店長はその後役員になられたとのうわさを聞きました。皆さんも、二段階上の目線を持って判断や決断・行動をする習慣をつけると、自分の進む方向に迷いがなくどんどん人間として成長をして行くことになります。

そして、この翌年の1993年10月2日に創業者である加藤一明が亡くなり、一時代が終わりました。(創業者の話については、また機会をつくります)

その12月に愛知中小企業家同友会に入会をしました。私が経営者として成長をしていった大きなチャンスとなりました。それまでは自分なりに頑張ってきたつもりでした。というのも、家庭を顧みず自分を成長させるために色々な会に入会して、休日の研修会まで参加をしていましたが、成果が得られませんでした。この同友会で「人間尊重経営」を学んだのが、一番大きかったです。

・私が一番よくわかっていて、正しいという自信過剰・うぬぼれがあった

・私が、一番会社のことを心配していると思っていた

・人の話を聞かず、私には私のやり方があると力んでいた

要するに、〔社員がせっかく気づいていても、言えない社風になっていた〕
これは、大きな問題でした。【管理職の皆さんも、振り返って見て下さい】

そこで気付いたことは、 ◇今だからこそ、言える「社員の視点に立つ姿勢」

●何のためにという「目的(Why)」を説明して、
⇒「君ならどうする」と意見を求める。こちらから答えを出さない。

●情報を共有化する
⇒知っていると思わず、日頃(朝礼・会議体等)から判断材料を知らせるようにする。

・「意見を求めても答えられない」のは、そもそも判断をする情報量が少なく与えていなかった。
・会社にとって本当に必要で、裏付の取れた正確な情報かどうかの確認をしていなかった。

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